フォックスの初恋物語(鳳麟 来夢作) ―ある日の雨上りの夕方。空を深紅に染めていた夕日が傾き始めた頃、 オレはその人に会った。雨で濡れたであろう綺麗な髪を肩まで流し、 雨に濡れた青い服、その人は後にいたオレに振り向いた。その人は慌てて オレの視界から走って消え去っていった。オレはその人に・・・・・        題 ―フォックスの初恋物語― 「・・・・・・ハァ・・・・・・・・・・」 「どうしたんだよフォックス。お前らしくねーなあ。ため息つくなんてよ。」 「・・・別にいいだろーが・・・・・。オレがため息つこーがつかまいが。」 フォックスは冷たく返事を返した。ファルコは少し驚いた。いつもなら もっと反抗的に言ってくるのだが、今回ばかりは何か訳有りようだ。 「なーに悩んでんだよ?教えろよ。相談に乗るぜ?」 ファルコはそんなフォックスの様子をおもしろがり、どんな悩みを持って いるのか知りたくてたまらなかった。 「・・・・・・・・・・・いらない・・・」 「ウソこけ。お前がそんな風にしてんのは年に一・二回。 あとは変な思いにふけってる時だけだ。」 なんと酷いのでしょう。この鳥さんは。でも言うことは正論です。 「本当に相談することなんてっ・・・」 「・・・・・・・・・相談することなんて・・・なんだ?」 フォックスは急に机を両手で叩き、立ち上がった。 ファルコは少し驚き、フォックスが言いかけた先を聞き出そうとした。 「・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・あるんだろ本当は。言ってみろよ。」 「・・・・・絶対笑う・・・・・・」 フォックスはふくれっ面で言った。 「笑ったりしねーって。」 「絶対笑う!だから相談なんてしない!」 フォックスはそう言うと勢いよく扉を開け、走って部屋を出て行った。 「オイッ!フォックス!・・・ったく なーに悩んでんだか・・・」 ファルコは頭をかきながらそう言った。        その頃の外では・・・・・ 「すみませんねぇ。洗濯物を干すの手伝ってもらちゃって。」 「いいよ。どうせ今日は暇だったし。それにリンクばかりに任せちゃダメだしね」 「そうですか。」 「でもスゴイよねリンクは。毎日こんなに多い洗濯物を干したり、 料理を作ったりするんだから。」 「ええ。まあ最初は困りましたけど、慣れると意外と平気なんですよね」 「ハハッ。慣れって怖いね♪」 リンクとネスが洗濯物を干していた。おまけに話して笑いながら。 ホント慣れって怖いですよね。え?どこに目をつけてるかって? そんなことは気にしちゃいけないお約束ですよ☆ 「あれ?」 「どうしました?」 「あそこに居るのって・・・フォックスじゃない?」 「え?ええ。まちがいなくフォックスさんですね。あの 耳とシッポが特徴的ですし。」 「何かあったのかな?」 「フォックスさんにですか?彼ならいつも問題があっても力とか相談とか  乱闘で抑えつけますけどね。」 ←なんてスゲー問題発言 「だよねぇ。なんかフォックスでも解決しきれないことがあったのかな?」 「あの彼に解決しきれない問題ですか?・・・・・・カービィさんと ヨッシーさんの食欲の多さとかですかね?」 「リンク。マジメに考えようよ。」 「じゃあネスさんはなんか考え付くんですか?」 「ん〜?何だろうね?」 「あなたもわかんないんじゃないですか。」 ネスはそのリンクの突っ込みにドキッと思った。 「あ。ため息はまたつきましたね。」 「なぬっ?!」 リンクさんもどこから出したんだか、双眼鏡を持ってフォックス君の様子をチェック! ネス君もおもちゃ売り場で売ってるような少し高い望遠鏡を使ってチェック! この二人は張り込みの捜査官にしても良いくらいの能力はあるよね。 「ハァ・・・・・・・」 フォックスは丘の上にある大きな石の上に座ってまたため息をついていた 「(なーんでこんな思いになっちまったんだろーなぁ・・・。でもあの人・・・ ダーッ!落ち着け!あの人は人間でオレは・・・狐だ!無理だ!)」 フォックスは両手で両頬を叩きながらも頭を横に振っていた。         その光景をみて・・・ 「なにやってんだろ?」 「本当ですね。何やってんでしょうか?」 本格的になってきましたこのお二人。とっとと洗濯物を干し終わって 今度は茂みに隠れながら、フォックス君の様子をチェックです! 警察としてはこういう観察力や行動力を持つ人は欲しいことだろう。 「どう考える?」 「あの悩み方はちょっとおかしいですねぇ。」 「もしかして・・・フォックスの恋愛関係発覚??!!!!」 「!・・・・・・・・あの人(?)がですか?!」 リンクは少し驚いてネスに聞きなおした。 「そうだよ!だってあの悩み方は恋愛関係のことだよ!  そうだよ!僕見たことあるもん!ああいう悩み方の人!  バッチリ恋愛関係のことでした。」 「ちなみにその人はどんな方?」 「いまどき遅れた流行を持つモヒカン頭にサングラスの  十代後半の自分が一番だと思ってる自己中心的バカ野郎。」 リンクはその言葉を聞くなりその自己中心的バカ野郎を想像してみた。 簡単に想像できるのが悲しくなったのか、少し顔をふせて手を当てた。 「あ!動き出した!」 「なんですって?!」 「追おう!」 「言われなくてもわかってます!」 この方々は調べたいと思ったらアホらしいことにはかならず知りたがる お二人さん。っていうか恋愛関係は全員でデバガメ騒動やるかもりれませんな。 だってその相手がフォックスさんですぜ!あのクールでキツイことを言う、姿が キツネの十八歳!恋心真っ盛りの年頃ですぜ!見てみたいもんですな! 「ああ!どこ行ったのかわからなくなっちゃった!」 「まかれましたか!尾行失敗ですね!」 「くそー!任務失敗かー!!チクショー!!!」 いつのまにかフォックスの姿は消えていた。尾行してない あたり尾行失敗というのもどうだろうか?おまけに誰の依頼の 任務なのだろうか。この二人は暴走すると止まりませんね☆(笑) 「(でも・・・・・・綺麗だったよなぁ・・・・・・・・・・・。)」 風がヒュゥ とフォックスをなでて吹いていった。 青く澄み渡る空の下。緑の若い草たちが生い茂る草原の上。 風は止まることもなく優しく草たちをなでていき吹き続けていた。 フォックスは座りこんであお向けになって倒れ、空を見上げた。 「(あと一回だけでも・・・・・・会ってみたいなぁ・・・・・)」 無理だとは思うけどな。と思いながらもフォックスはそう思ったの でした。 しかーし!!!!! 運命とはなんとやら。 その願いは家に帰ったあと、叶いました。っていうか 叶っちゃいました(笑) 「ただいま・・・・・」 「あー。お帰りフォックスぅ。」 「やけに騒がしいな。なにかあったのか?」 フォックスは扉を開けて中に入った。カービィはフォックスが帰ってきたので飛びついた。 が、簡単に手で除けられた。感動的な再会なのに・・・・・ とカービィは捨てられた女のようなポーズをとって目が潤んでいた。 「なんでも、女性陣の方々がロイさんをあの部屋に連れて行って  それから大騒ぎしてるんですよ。それでリンクさんが止めに行ったら  リンクさんの笑い声が聞こえて、そのあとジャンケンで負けたマルス  さんが行って、これまたマルスさんの笑い声が聞こえて・・・。」 「それでどうしようもできなく向こうが騒ぎまくってると。」 「そういうことです。」 フォックスの問にみんなの和み系アイドル ヨッシーが答えた。 「リンクが笑うなんてそうそうないと思うんだがな。」 「こっちではいろいろ喋ってるみたいだけど、普段は無口だったし、  笑うことなんてあまりなかったわよ。」 「だよなぁ。」 ガノンドロフがそういうとゼルダが続き、フォックスも続いた。 フォックスは気になり、扉へ歩き始めた。 バンッ と途端に勢いよく扉が開き、フォックスの見たあの人が飛び出してきた。 その人は前にいたフォックスに飛びつきフォックスはおされて倒れた。 簡単に言えば・・・ 「(フォックスが押し倒されたー!!!!!)」 キャーと全員が同時にそう思った。押し倒された本人は一瞬なにがあったのか わからなくなってしまった。フォックスを押し倒した人は間違いなく雨上がりの 夕方に見たその人、フォックスの思っていた人だったのだ。綺麗な髪を肩まで 流し、青い服を着ていた。フォックスはただキョトンとしていた。その人は 追ってきた足音に気づくなり倒れていたフォックスの背中を上げその後に隠れた。 だが隠れたというよりは、かくまってという感じだった。 フォックスはただただ目を見開いてチョコンと座っている状態だった。 その時 足音を立てた本人達が来た。 「ちょっと!いきなり逃げ出すんだもん。まだ終わってないよ。」 「フォックスさん!今回ばかりは私はマルスさんと女性陣につきますんで。  その人をこっちに渡していただきましょうか!」 「なんかリンク。借金が返済できない人に娘をもらっていこうとしてる  悪い借金取りみたいだよ。」 これまた子供達のアイドル 電気ねずみのピカチュウがツッコミをいれた。 その人を追ってきたのは本当のアイドルといってもいいお二人。大人の 女性方、おそらく十代後半から大人気!青髪の王子様!マルス王子! と先ほど登場した時の勇者のリンクさんです! 「いやというなら力ずくでいきますよ!」 リンクは拳をつくって言った。フォックスの後に隠れてる人は目が潤みながら マルスとリンクを睨んでいた。フォックスはそのことに気づき、二人に言った。 「なんか・・・泣いてるぞこの人・・・。なにをやってたんだよ?」 「え?・・・もしかしてフォックスさん。気づいてないんですか?」 「フォックスならわかると思ったんだけどなー・・・。やっぱり  スゴイ似合ってるんだよ。その髪型。ずっとそのままにしたら?」 リンクがそういうとマルスが続き、フォックスの後に隠れてる人にそう声をかけた。 その後その人はその言葉を聞いて・・・・・ 「ふざけんな!!!!!」 その声を聞いた途端、全員は驚きの顔になり、フォックスはピシッと 石化した。聞き覚えのある声だったからだ。しかも、毎日と言っても いいほど聞いてる声だった。 「なんでさ?僕は普通にそう思っただけだよ。純粋な意見を述べただけです。」 「純粋な意見かそれはー?!!!どう考えても 僕には邪悪な意見にしか聞こえねいよ!!!」 「それは君の気のせいさ☆」 マルスさんはその人に笑顔で答えた。ええ それはもうこの上にないくらいの 笑顔で。もしこの笑顔で「僕と一緒に一曲踊っていただけませんか?」 と言われたマルスファンの方々は即ノックアウトだろう。 「・・・お前・・もしかして・・・ロイか・・・・・?」 フォックスは石化しながらも聞いた。そして答えは・・・ 「そうだよ!!女性陣がいきなり部屋に連れ込んで僕の髪をこんな風に  ストレートにしてみたかったんだって!!結果こうなって女装して  とか言い始めてそれやられるトコだったんだよ!!!!!!」 フォックスはその言葉にさらに固まり、ヒビがいたる所に入った。 その声は少年らしい声で変声期真っ盛りの声だった。 まあ・・・声優名を言ってしまえば福○ 潤である 「さあ!めんそーれですよロイさん!」 「誰が行くか!!!!」 リンクは一部沖縄語で声をかけるとロイは怒って言った。当然である。 「さあ!フォックス!ロイをこちらに渡してもらおうか!!!」 「あの二人の暴走を止めてよフォックスー!」 マルスがそういうとロイは反抗し、フォックスにそう願った。 「・・・・・・はぁ・・・・・・・・いいんじゃないんですか・・・」 『なっ???!!!!!!!』 「オ オイッ!マジかよフォックス!!!!!」 「いつもならフォックスは止めるよねー!!!!!」 全員はフォックスの言葉に驚き、ファルコとピカチュウは聞きなおした。 「オイ・・・・・フォックス・・・・・・冗談はよしてくれよ・・・なあ・・」 ロイ君は泣きそうな勢いでそう言った。もう服装を女物にしたら声以外は 完璧な少女である。男性陣この泣きながら願うロイに心打たれたとか。 普段ならリンクが止めるのだが、リンクが悪ノリしまったらフォックスが 止める役なのだ。だが今回ばかりはフォックス君もダメージがあったようだ。 「フォ・・・・・フォックスぅ・・・・・・・・」 ロイが泣きそうになりながら言うとフォックスは・・・・・ 「チクショオオオオオオッッ!!!」 と言いながら、扉を蹴破って外へ出て行った。ロイはただ 座り込んで待ってというポーズをとっていた。そこへこのお二人。 「さあ。行こうかお姫様。」 「うわぁ!は 離せ!降ろせ!コラァ!!!」 「はぁい。お姫様は暴れちゃいけませんよ。」 「姫じゃねー!!僕は男だー!!!!!!!」 マルスはそう言いながらロイをお姫様抱っこをしてさっきまでいた 部屋に連れて行った。ロイ君は暴れているがまったく歯が立たない。 全員はその一連の行動に驚き、ネスはロイの姿を見て大爆笑していた。 そのころ外では・・・・・ 「オレの・・・バカヤロオオオオオオオオ!!!!!!!!!」 おそらく心のなかでは「初恋のバカヤロオオオオオオ!!!!!!」 と叫びたいのであろう。 このあとロイは服装も女物の上着やスカートを着せられて、 ネスと一緒に街中を歩かされたという。その街中で十数人の 若い男性に声をかけられたそうな。しかも男性に声をかけられた 時にネスの言った言葉は・・・・・ 「ねえ。彼女。フリーだったらオレと付き合わない?」 「え?・・・・・・・あの・・・・・・・・」 「ゴメンね!もういるんだよね?お姉ちゃん?」 「・・・・・はい・・・・・・・そうです・・・」 ロイ子ちゃんは怒りながらも言ったそうな。            おわり