甲子園〜あの夢をもう一度〜 太作  「入ったー!決勝ホームラーン!」 思い出すだけでにやけてしまう,オレ,小波の中学時代の思い出だ。 オレは今,親友の矢部君と初詣に来ている。 ご存知(あくまでも)自称俊足巧打のスーパースター(認めねーけど)だ。矢部ファンの方々ごめんなさい。 「野球が上手くなりますように・・・と」 「ガンダーロボをいっぱい買えますように・・・と」 「おい」 そうそう,オレ達は今年から高校生だ。当然あかつきへ!・・・と思ったけど落ちたわけだ。結局第二志望のパワフル高校に決まった。 そして,オレ達の高校生活が始まった。夢はもちろん,甲子園! 〜こうして,オレ達の高校生活が始まった〜 おっす!小波です! 始業式も終わり,今日から部活だ。気合を入れていきたいところだ。 「それが8割方寝てた人の言うことでやんすか?」 「う!矢部君!」 「まあいいでやんす。部活いくでやんす。」 _____________________________________________________________ 「今日から部活動が始まる。怪我の無いようにしてくれ。  まずは1年の自己紹介でもしてもらうか。」 ・ ・ ・ 「小波といいます!外野手です。よろしくお願いします!」 「矢部明雄というでやんす。外野手でやんす。よろしくでやんす。」 クスクス,と笑い声が聞こえる。「やんす」がウケたようだ。 ・ ・ ・ 「寺島俊明です。外野手です。よろしくお願いします!」 「よし,ではペアを作ってキャッチボールからだ。開始!」 _____________________________________________________________ 「寺島くーん!」 「あ,小波君に矢部君。中学以来ですね。」 「そうだ,三人でキャッチボールやらないでやんすか?」 「いいじゃないですか?やりましょうか。」 「また『鉄壁の外野三人衆』ができるんだなぁ。」 「そうそう,打撃も守備も,ね。」 「1番2番3番と外野手だったでやんすからね。」 そんな楽しい会話をしながら,オレ達はキャッチボールを続けた。 _____________________________________________________________ 「これからノックをする。1年2年3年の順にしていけ。ネクスト 以外素振りだ。」 ここはオレ達の結果だけ言っとくぞ。 オレは10本中七本をヒット,内1本ホームランだ。 矢部君は10本中5本をヒット(凡打のうち2本内野安打になりそうなものアリ)だ。 寺島君はヒットこそ3本だが,バントも試み5回中4回成功。 守備も良かったぞ。みんな。 こんにちは。寺島です。 今日は僕が司会のようです。僕視点ですね。 今日は部活が休みです。日曜日ですから。だからグラウンドで自主トレに来てるわけです。もちろん小波君と矢部君も。 ・・・昔から,矢部君は遅いです。もうキャッチボールしようかなー,という会話になり始めてます。 矢部君が来たようです。そろそろ会話に移りますね。 _____________________________________________________________ 「オレ達はもうストレッチしたからキャッチボールしてるよ。」 「ひどいでやんす。小波君の今日の晩御飯は紅しょうがでやんす。」 「野球に関係ありませんよ。」 「さ,さあ寺島君,キャッチボールしよう。」 ・・・紅しょうが嫌いなんですか? パァーン,パァーンといい音が響きます。 僕のグラブに白球が納まります。 僕は話をきりだします。 「あのときから変わってませんね。またと「やめてくれ!」あ,すいません!」 そうでした。 小波君はいやな思い出があるんでした。あまり感じさせませんけどね。 「すまん,あのことになるとどうしてもな。」 「いいですよ。きりだした僕も悪いです。」 「あのでやん「さあ続きだ頑張ろう!」 「はい!」 「オイラも入「いきますよー。」 「うう〜。」 _____________________________________________________________ 矢部君も入ったところでトスバッティングに移ります。バックネットに向かって一人トスし一人守るという風に。 「くおっ!」 「ふふふでやんす〜。」 「矢部君・・・。カーブって・・・。」 「あそこから落とされるとキツイよ矢部君〜。」 なんていってた彼も後半はパカンパカン打ってましたけど。 「いきますよー。」 「こいでやんすー。」 _____________________________________________________________ 「ひどいでやんす!早すぎるでやんす!」 「ハイハイ,僕打ちますから早くしてください。」 「そんなでやんす〜。」 「君はバントしなさい!」 「ぇ」 ラスト1球思い切り振ってやりました。気持ちよーくランニングに移れます。 「ランニングするぞー。」 「「おー(でやんす)。」」 _____________________________________________________________ 「矢部く〜ん,速いよ〜。」 「当然でやんす。おいらは俊足でやんす。」 ・・・3秒後・・・ 「ハアハア・・・。」 「ベースランニングが限界ですか・・・。」 「さすがに早いだろ・・・。」 これで帰宅です。みんなもう行きました。 ・・・燃え尽きている矢部君を除いて。 僕も行きましょう。 矢部でやんす。 今日は小波君のことで教えておきたいことがあるでやんす。 ―あれは中学のことでやんす。  小波君はピッチャーをやっていたのでやんす。剛球投手として二年生からエースを張ってたでやんす。そして何よりキレるスライ ダーが武器だったのでやんす。  三年の春,ある日,監督が練習試合を申し込んだんでやんす。その試合はエース温存ということで小波君は控えだったんでやんす。  でもその人も二番手も三番手も打たれるので,ついに小波君がマウンドに登ったんでやんす。  相手は四番,メタメタに打ち込んでたでやんすから調子に乗ってた んでやんす。そのせいで,小波君の肘に超強烈なピッチャー返しが まともに直撃したでやんす。  急遽降板,夏に間に合わず秋に投げれるようになり,その後外野転向となったでやんす。― あっ!今日はアニメの再放送でやんす!帰「逃がさないよ。矢部君?(にこにこ)」 殺気を感じるでやんす。 「電話して録画頼むから許してくれでやんす〜。」 「仕方ないなー。」 助かったでやんす。 もう部活にいくでやんす。 さいならでやんす。 ------------------------------------------------------------- 「ふー終わったー!」 「疲れましたねー(うわぁ久しぶりのセリフですよ)」 「そうそう,小波君のあのことほとんどの人が知ってるでやんすよ。」 「あの肘ですか?」 「思いだしたくなかったのにぃッ!」 「逃げるでやんすー!」 「あ,ちょっ「待てえぇぇぇっ!」 矢部君は走塁が上手くなりました。(寺島談) 小波だ。 オレ達は今頑張市民球場にいる。 なぜなら今日から予選が始まるからだ! 展開が早い?ケチなこと言うなよ。練習しかやってないんだから。 オレ達パワフル高校はいきなり1日目の第三試合だ。 ただアクシデントがあったんだ・・・。 ___________________________回想____________________________ 「ええ?三年のほとんどが食中毒でダウン?」 「そんな・・・。」 「やばいでやんす・・・。」 「だから三年生がここに3人しかいない,ということですか。」 「やばいよ2人とも。野球部は部員が多くなくて2年生は5人しかいない。つまり・・・。」 「1年からも1人スタメンでやんすか。」 「うれしいような悲しいような・・・。」 「(3年)まてよ。2年にも2人体調が悪い奴がいたらしいぞ。」 「じゃあ3人1年から出るのか・・・。」 ______________________________ そしてスタメン発表のときオレは7番レフトで呼ばれちゃったよ。8番ライト矢部君9番センター寺島君ね。 「ゲームセット!」 第二試合終わったか。準備してるし。さあやるぞー。 「プレイボーーーール!!!」 オレ達は後攻だ。相手はバス停前高校。一番バッターが打席に立った。サインを見て・・・第一球! キィィィン! 「「「!!!」」」 ドバンッ! 『お,収まったー!偶然にもピッチャーのグラブにボールがっ!』 「あぶねっ!」 ノーマーク校にこれほどの打球を打たれたためか,流れがあっちにいきそうになったな。うちのピッチャーそのあと2本ヒット打たれたよ。結局チェンジだからいいけど。 「チェンジだ!俺が流れを変えてやる!」 「打順来ないと思いますよ・・・。」 「るさい!」 ______________________________ 『7番 レフト 小波君』 「来ましたか(チッ)」 「やったるぜ〜」 パ2―0バ 1アウト二,三塁。 もう一度言う。 『俺が試合を決めてやる!』 「オレが試合を決めてやる!」 きまったっ。オレ,小波。打順来たぞ。 ピッチャーは川村とか言うやつ。カーブとフォークがちょっと曲がるくらいだ。 (これくらいならホームランいけるな〜) そう思いながらボックスに立つ。 川村は二塁を気にしている。 こちらを向いて・・・右腕が,しなるっ! (もらったぁっ!) ギィィィンッ! 『ファール!』 惜しいなちくしょー。 まあいい,余裕がある。 これでプレッシャーもでてきたかなー,と思った。 川村は第二球,投げる! ブンッ! (なにっ!?) 球は真ん中,やや低め。甘かったが,斜めに落ちた。カーブだ。早まっちまった。 川村は投げる!クイックかっ! ギッ! 『ファール!』 あっぶねえ〜。まさかクイックとは思わなかったよ。 川村もやるな。 うおっ,もう投げるかっ! 球は外角緩い球! (!) 曲がった!あわててスイングを止める。判定は・・・良かった。取られてない。ボール。 くそっ,あいつ技巧波だな。技能系。 そろそろ投げるか?と思ったけど投げない。まだ投げない。まだか・・・! バッ! 何!今来たかっ・・・! ガッ! くそ!打ち損じた!高いバウンドで三塁線ギリギリに・・・! 『・・・フェア!』 うそぉ!入ったからには全力疾走! 『セーーーフ!』 しゃっ!間に合った! 「ナイスランですよー!」 「さすがでやんす小波君!(おいらなら楽勝でやんす)」 やったぜタイムリー内野安打! ちなみに(おいらなら・・・)と言ってた矢部君は同じ当たりでアウトになりました。 そのあともパワフル打線大爆発。 一回戦コールド勝ちを収めた。 緒戦を突破した俺達は順調に勝ち進んでいた。 3回戦からは2・3年も合流し現在準々決勝。 ただ,準々決勝はあの帝王実業。 正直なところ,皆不安なようだ。 それは,俺達も同じ。 負ける気でやってるんじゃない。 だから,勝つ。 「ファイトー!」 「「「オーーーッ!」」」 試合開始。 俺達3人はベンチ。 ただ監督は「お前ら三人は交代で出る可能性は高い。心しておけ」とのこと。 あ,うちら後攻ね。 帝王はエースを立ててくる。 俺達もエースを立てていく。 「勝ったほうが頂上」という下馬評通り,残っているのはノーマーク校。 まさに「勝てば頂上」。準々なのに。 とにかく,「勝てば頂上」。 だから,勝つ。 五回裏。 パ1―11帝。 ここまで2試合コールドの俺達。 ほとんど完封の俺達。 なのに,相手がコールドに王手。 この回,1点でも入れなければコールド。そして,6番打者からの打順。 6番。 粘りに粘ってフォアボール。 7番。 三振。 八番。 三振。 九番・・・監督がタイムをかける。監督がこちらに来る。 「代打だ,小波。」 バットを構える。 投手を見る。 そして・・・ 「プレイ!」 ツーナッシング。 追い込まれた。 投げる。 「おおおおおおおっ!」 伸びてくる直球。突き進むバット。 そして。 バットは, ボールを, 捉え・・・なかった。 ギッ! バァン! 「ストライーク!バッターアウト!ゲームセット!」 わずかにかすってバッターアウト。 あっけないコールド。 こうして俺達の夏は幕を閉じた。 あれから3年たった。 俺達3人は今頑張市民球場にいる。 理由?あとで言うよ。今、それ言おうとしてるんだ。 あの帝王戦のあと。 高校のグラウンドでキャプテンの挨拶。 「甲子園にはいけなかったが、悔いはない。・・・」 オレはてきとーに流す。 「キャプテンは・・・高峰!頼んだぞ!」 パチパチパチ。 「1・2年は秋もある。部活はまだまだ続くぞ。秋の大会、期待している。では解散!」 監督の一声でみんな帰る。 「小波君、いくでやんすよ。」 「あ、ああ。」 「秋まで頑張りましょうね。」 「だね。」 とはいったものの、準決勝で予選敗退。 2年になった春、2回戦でいきなり帝王と当たる。敗退。 夏、決勝まで言ったが敗退。オレがキャプテンに。なぜにオレか、と思ったけど。 秋、決勝までいき地方大会へ。しかし地方3回戦で敗退。春、決勝で敗退。 そして夏。決勝で帝王。また上手くいくなあ。 延長11回まで1―1の同点だったが、オレが決勝タイムリー。何で こう上手くいくんだ。 初の甲子園。3回戦まで順調にいったが、あかつきと当たる。最悪だあ。 案の定敗北を喫する。しかし3―5の接戦。 そしてドラフト。パワフルズ3位オレ4位寺島君6位矢部君となった。 だからオレ達は頑張にいたんだ。 こうして新たな俺達の戦いは始まった。