キノの旅 The beautiful world 〜orizinal world フラミンゴ作 地平線の向こうまで同じ景色の中を、1台のモトラド(2輪で空を飛ばないもの(意思を持っています))が走っている。 「何にもないね。キノ」 「うん。そうだね。」  キノと呼ばれた、人物が答える。 「こう何もないと、さすがに暇だね。」 「うん。そうだね。」 「もう、3時間も同じ景色だよ。」 「うん。そうだね。」 「もぅ.....あっ!! あそこに人影が見えるよ。」 「ホントだ。手を振ってる。」 『オーーーイ!!オーーーイ!!』 …… 「こんにちは、良い天気ですね。」 「良すぎて暇だよ。」 「いやぁ、助かったよ。私のバギーがエンストしたんでね。 誰か通るのを待ち続けて、4時間も立ち往生だよ。失礼だが、すぐソコの国までの燃料を分けてくれないかな?」 「えぇ、構いませんよ。」 「そうですか、どうもありがとうございます。」 「ちょっとキノ〜僕の燃料だよ。何の断りも無く即答なんてさ。」 「いいじゃないか、次の国はすぐソコらしいから。燃料はソコで入れればイイよ。」 「そうだけどさぁ。」 3人は簡単な自己紹介をして、国へと続く道を走っている。 …… 「でも、どうしてそんなに、荷物積んでるのさ?」 「これかい?この荷物は、ソコの国の人々に寄付する物なんだよ。以前、仲間と訪れた時にソコの国の在り方にひどく心を打たれてね、一生かけて何か力になろう、と思ってさ。変かな?ははは...」 「そうでしたか。そういう生き方もあるんですね。」 「そうなんだぁ、スゴイね」 「ははは。キノさんはどういった用があって、あの国に?」 「僕は、旅、をしてるんですよ。エルメスと2人で。で、次の国がその国という訳です。」 「ほぉ。」 「キノ、門が見えてきたよ。」 … 「御滞在は何日ほどでしょうか?」 「僕達は3日です。」 「私はこの国と生涯を共にしたいのですが。。」 「そうですか、では正式な手続きはあちらの方でお願いします。」 「はい。じゃぁなキノ君、エルメス君」 そう言って男は別の場所に行った。 「あのぉ、この国の宿はドコにありますか?」 「宿なら、門をでて左の方にあります。」 「わかりました。どうも、ありがとうございます。」 「さて、宿に行こう。」 「燃料は」 「わかってるって。」 前の国で貰った民芸品などを売り、燃料と食料・パースエイダー(銃器のこと)の弾等を買い、宿の部屋で一息いれた。 ――――― 『コンコン』「お食事をお持ちいたしました。」 「どうぞ。」 招き入れて、運び込まれた料理を眺める。 「食器は部屋の前に置いておいてください。後で、回収しますので。。では、ごゆっくり。」 「はい。それと、この国を案内してくれる人はいますか?」 「私でよければ案内いたしますが。」 「では、お願いします。」 「かしこまりました。」 …… 「キノ、味の方は?」 「普通だよ。」といいながらも、手を休めず食べ続ける。 「ふぅん。。。あっ、ねぇあれ見てよ、イカッセオさん(国の前で会った人)だよ。」 キノは、んー、と相槌をいれながら、食べている。 「ごちそうさま。じゃぁ行こう。」 … 「私達の国は、これといって特徴がありません。長年の間、誰も 別の国を侵略しようとも思いませんでした。侵略にやってくる国もありません。王様は以前までいましたが、5年程前からお辞めになって普通の暮らしを始めました。」 「この国の丘の下にある集落はなんですか?」 「あれは建国前からあったので、詳しい事は存じておりません。」 「そうなんですか。」 「あっ、またイカッセオさんだ。」 その男は、集落の人達に自分の持ってきた食料や日用品などの説明をしていた。 「力になりたいって、この事だったんだね。」 「うん。そうだね。」 「あのぉ、キノさん」 「はい。なんでしょうか?」 「今日は日も落ちましたので、続きは明日でよろしいでしょうか?」 「はい。わかりました。」 …… 集落の人数人が男を囲っている。 「え〜っと、これは携帯食料だよ。旅人のホトンドが食べてるんだ。食べてみるかい?」 差し出された人は恐れながらも勢いよくソレに噛み付いた とたん、その食料も食べた人は涙を流し始めた。 「こんなにおいしい物は、生まれて初めて食べました。」 「おぉ、そうかぁ、そうかぁ。まだ、沢山あるからそんなにがっつかなくてもいいよ。」 人々はそれでも、我先にと急いで、ソレを取り合った。 「他にも色々あるよ。」 「うわぁ〜。コレはなんですか?」 「コレはね、ココをこうすると…… 「わぁぁぁ。」 ―――― そして、あっという間に3日目になった。 「さて、出発しよう。」 「うん。」 「おーーいキノさーーーん」 「なんでしょうか?」 「いやぁ、お別れを言いに来たんだ。。どうもありがとう。そして、さようなら。」 「さようなら。」 ・・・・・・・ 「あの方は誰ですか?」 「ん?あぁあの人は僕の恩人なんだ。ココに来るのを助けてもらってさ。あの人が居なかったら。。。」 「これからも、私達に尽くしてくれるのですか?」 「あぁそうとも。初めからそのつもりで、来たんだ。一生かけて、ココを良くしていこうと思うよ。」 「おぉ一生を私達に…それは助かります。」 パチンと一人が指を鳴らした、とたん数人の人間が男を囲んだ。 「なっ、なにをするんだ…?」 「私達に尽くしてくれる、と言うのでソレを行う場所に連れて行きます。」 ソコは一軒の小屋だった、が、一人が壁のスイッチらしきものを押すと、床が下へとさがっていく。。。 そこは、想像も出来ないような世界が広がっていた。 地下というのに、建物が建ち並び、空もある。。 「・・・・こ、こ、これは一体..何なんだ?夢を見ているのか...」 「コレが私達の国です。先祖達の時代から非常に優れた技術を持っていまして、こういう風な国を作ったのです。」 「そんな……では、何故あんな集落に?!」 「簡単な事です、私達は外面より内面を重視する、と言うだけです。他国は『こんな集落襲っても無駄だ。』と言い何処にも襲われません、私達も今の暮らしで十分なので襲うつもりもありません。」 「あんなに、喜んでたのは演技か。。。?」 「はい、大変でしたよ。あんな不味いものを食べさせられて。。涙も出ますよ。演技ってのも辛いですね。ははは・・・」 …… 「さて、あなたにはこれから死ぬまで働いてもらいます。」 「………飼い殺しの奴隷ってわけか。。。」 …… 「ねぇ、キノ、あの人頑張ってるかな?」 「うん。そう思うよ。根気よく努力すればいつかは報われる。って」 「あ、それ前の国で王様が言ってた言葉だね。石の上にも残念。」 「………三年?」 「そうそれ。」                          FIN