曲者エース(OB職人作) しずかな夜 シューーーン ゴン 山村「ぐっ」 彼の名は山村道明 西明学院の4年生そして今季ドラフトの注目株である 彼は早い速球とくせ球で2年でエースとなりこの大学を強豪へと導いたのである しかしこの1年は全国に出ていない そして明日は予選決勝戦 相手は無名の藤崎大学 だれもが西明学園が勝利をおさめると思っている そして今山村は壁当てをしているのだが・・・ 山村「(ちくしょう肩がめちゃくちゃ痛いしかし明日は絶対投げないと行けない)」 実は山村3年から肩をいためていたそれでも最初は大丈夫だった しかし今となってその痛みがきたのである 山村「(なんとか明日までもっていてくれ) 翌日 快晴だった 監督「よしいい天気だ今日勝って全国へ行くぞ」 全員「オオーー」 鈴川「山村さんいきましょう」 彼の名は鈴川泰明 2年ながらレギュラー捕手である もちろん鈴川も山村の肩痛は知らない あまり人を信頼しない山村だがかなり鈴川のことは信頼している 山村「ああ」 一方無名の藤崎学園は4番がすごくここまで来れたのもそのおかげだと思われる 鈴川「ところで山村さん相手の4番しってますか」 山村「一応名前はしってる吉田だろ」 鈴川「そうですでもその吉田さんがすごいんです」 山村「ふーん」 鈴川「興味ありませんか」 山村「いや別に」 鈴川「まあいいやで成績なんですが13試合で打率.667 9本 22打点なんです」 山村「・・・・・・・」 さすがの山村も黙りこんだ 打率はともかくホームラン9本には驚いた 山村は実は一発病で失投を強打者に打たれるとホームランになるのである 1年全国に出れないのもこれが原因だった そんなこんなで試合は始まった まさかこんな試合になるとはしらず 試合のほうは3回に鈴川のタイムリーで西明学園が2点を先制した そのあとは7回に1点とられた以外に特に何とも無かった ただ山村には大変なことがおきていた 肩の痛みがひどくなってきた 山村「(くっ肩がー肩がー限界に近づいてきた)」 しかしなんとかばれずにここまでこれた・・・鈴川以外は」 鈴川はたぶん最初からきずいていたのかもしれない じゃなきゃ吉田を全打席敬遠するはずがない 鈴川「大丈夫ですか山村さん汗だくですよ」 山村はあまり汗をかかない選手だった しかし今日は異常なくらいかいていた 山村「いや・・・大丈夫だ」 ちょっと返事が遅れた そのときだった ポツポツ 監督「なんだ?雨か?」 今日は快晴のはずだったしかし突然雨が降ってきたのだ 山村「くそーーこんなときに限って」 野球の神は山村に試練を与えたのかもしれない そして魔の9回がやってくるのであった そして9回雨の状況でのスタート 山村は体力的にも精神的にも限界が来ていた 9番はアウトに打ち取るも(まあ投手なのだが) 1番2番に連続ヒットを打たれ 3番にバントをされて 2アウト2・3塁となった バッターは4番吉田 ここも敬遠かと思った 正直勝負したくてたまらなかった しかし今の自分では無理だと思った 鈴川はすでに立ち上がっていた そのときだった 吉田「おい待てよ勝負しろよ」 山村は少し驚いていた 吉田「ここで敬遠したらただの投手だでもお前はそんなやつじゃねーだろ」 吉田「とにかく勝負してこいよ」 山村はそのときプレートをはずした そして・・ 山村「鈴川座れ」 鈴川「えっ、でも」 山村「監督ならサインでOKしている。だから座れ」 鈴川「・・・分かりました」 山村「吉田 俺を本気にしたからにはおまえも本気でこいよ」 吉田「わかってる」 雨は一段と強くなった そして長い勝負が始まった 1球目 内角へのスライダー ボール 2球目 外角へのくせ球 ストライク 3球目 ボール球からストライクへのスライダー ファール ここで2−1となった そのとき山村は限界に来ていた 山村「くそ肩がっあと1球限度だ」 そしてこれが最後の投球かとおもわれた そのときだった 雨でぬれたボールで指が引っかからなくなった 山村「しまった失投だ」 吉田は打ちに行った   カーン 打球は高々と上がっていった 右にきれていった ファール 山村は助かったと思った しかしもう投げれなくなった 山村「ちくしょうどうすれば」 そのとき遠い記憶が山村の中にあった 数十年前 シューーン バシ 高下「いいボールだ道明」 この人の名は高下健也 山村に野球を教えた人物 山村の兄的存在的だったが・・ ここでは深い説明はやめておく 高下「そんなお前に凄いボールを教えてやる」 山村「本当に?」 高下「本当だ」 そして数日後 グッグッシューーン   高下「(凄いたった数日でここまで変化するなんて)」 高下「完璧だ良くやったな道明」 山村「高下にいちゃんありがとう」 高下「でもこのボールは肩に負担をかけすぎる だから投げないでくれ」 山村「えぇー じゃあいつ頃投げればいいの」 高下「そうだなープロまでだな」 山村「うん 分かったよ」 山村「(あれから絶対投げなかった。でも今投げるしかない)」 山村「(高下さんごめんだけど今投げるしかないや) そうすると山村はグラブを取った 山村「吉田これが俺の最後の球だ いくぞーー」 山村が投げた・・・左手で 吉田「なに左だとしかし遅い球だ打てる」 そのときだった シューーーン 吉田「なっ 消えた」 吉田はそう思っていた 吉田「いや変化しすぎて上から来ている」 そして吉田は降った ブーーン ボールには当らなかった ストライクだった ゲームセット 勝った勝ったんだ そう山村は思った そしてその後のことだった 吉田「凄い試合だった山村ありがとう」 山村「こっちこそ正直敬遠するはめになると思ったからな」 吉田「それよりもお前左でも投げれるのか」 山村「・・・俺の利き腕は左だ」 吉田「なんだって」 山村「ただ大学に入った時に左じゃ速球がでないから右に変えただけだ」 吉田「そうだったのか」 山村「まあ右肩壊れちまってから今後は左で行くけどな」 吉田「やっぱり壊れてたのか」 山村「なんだばれてたんか」 吉田「7回あたりから分かってた」 山村「そうか・・・」 吉田「まあ全国でも頑張れよ」 山村「ああ」 こうして試合は終わった 山村「(4球目はワザとファールにしたなじゃなきゃ右打者が右にファールするわけないよな)」 山村はそう思った 数日後 新聞には西明学園全国優勝とかいていた そしてこの年のドラフトでパワフルズに指名された 山村の挑戦はまだ終わらない