幼馴染(月波 麗奈様作) 雨。 その音が学校の廊下にも響く。 繰り返される毎日に。 時々降り注ぐ。 その、雨粒たちが。 たまらなくスキだ。 西宮 唯は、呆然と立ち尽くし雨を見ていた。どんどんと激しさを増していく。周りの音はかき消され。埋れていくのだ。 チャイム。 授業開始のアイズ。 それは、唯の耳に入ることはなかった。 「おいっ。」 不意に、声を掛けられてびっくりしてそちらの方向を見た。 幼馴染。 相馬 修二。 「何っ・・・。」 何じゃない。 でも、 状況が把握できない 「何って・・。チャイムなってるだろ。」 あっそっか。 私、ずっと雨見てたんだ。 「早く。授業いかないとしかられるぜ。」 唯と修二は同じクラスだった。 元幼馴染。 現クラスメート。 そこまで変わっていたんだ。 「分かってる」 「なら、早くしろって。」 冷や汗。 焦った表情で修二はいう。 唯はただ、彼の瞳をみつめた。 修二の汗はましていく。 二人の耳に近くのクラスから教員が意味不明な数式を並べている声が 聞こえた。修二は、あきらめたようでそっとため息をついた。 外は、暗く。 雲は、グレー。 雨は、激しく。 二人は、沈黙。 肩を並べて雨を見た。 「見つかったらどうするの?」 「お前のせいだろ。」 「しらないね。あたしは。」 「教室から見えんのかなココ。。」 少しだけ修二が昔の笑顔に戻った気がした。 「まっいっか。」 だから、どうでもよかったのかもしれない怒られたって。 「はっ!?」 「雨みようよ。久しぶりに。」 それから。 何もいわず。 雨をみた。 前のように戻れた気がしたんだ。 前のように戻れたきがしたの。 唯と。 修二と。 俺はいつも。 私はいつも。 遠慮してた。 でも、ここでまたこうして話せるのも運命って思いたいんだ。 でも、怖いからいいだせなかったんだ。 昔の笑顔で安心した。 唯が。 修二が。 「また。もどれるよね。幼馴染に。」 「あぁ。もどれるさ。」 雨止むことことなかれ。 時、進むことなかれ。 俺たちは。 私たちは。 今、こうして笑い会えてるんだから。 雨が激しさを増していった。