黄金の左腕:ビクター作 第一話崩れた右腕 グラウンドの、土のにおい選手達の汗のにおいがする。 応援席には、応援の声がこだましている 中学生の決勝戦を行っていた。 1−0で、一打で同点または逆転も可能な数字だ。 9回裏ツーアウト2塁ホームランで逆転の場面だ。 マウンドに立つのは、この物語の主人公笠原 尚吾だ。 笠原は、鋭く落ちるフォークと140キロ台のストレートが武器の本格右腕である。 キャッチャー、尚吾に駆け寄る。 このキャッチャーの名前は、金森 明という。 1点は、金森のホームランでもぎとっている。 金森「あと一人だ。大丈夫か??」 笠原「最後だからな。このバッターを抑えて優勝しようぜ!」 笠原が、金森を元の場所に行くように言う。 笠原「(これで最後だ・・・俺の方後3球でいいもってくれ!)」 最初に一球目を振りかぶる。 しかし、これはミスである。塁に走者がいるときに振りかぶると楽々次の塁に進塁されてしまうからだ。 ビュウウウウン ズバーーーン 140キロのストレートバッターは、手が出なかった。 振りかぶったことにも驚いたが、何より球の威力がおとろえない。 笠原「(後2球・・・・)」 第2球目 笠原は、もう一度振りかぶりなげた。 ビュユウンククッ ブゥウウウン ズバーン 外に逃げるカーブで2ストライクをとった。 金森は、此処でボール球を要求するが首を振る。 笠原「(此処で一級でもはずしたらもう俺の肩は、限界だ。)」 金森は、笠原の意図を察したようで、内角のフォークを出した。 これに笠原はうなずく。 そしてラストボール 振りかぶって投げた。 ビュウウストーン ブルウウウン ズバーーン バッターのバットは、フォークに見事に空をきった。 全員が、笠原は、マウンドで右肩を抑えてうずくまっている。 担架に乗せられ病室に運ばれていった。 診察の結果日常生活には支障が無いものの野球はもうできなくなってしまった。 こうして、右腕は崩れた。 最終話新たなる物語 笠原は、退屈だった あの試合の後笠原は、心に大きな穴があいたような思いだった。 自分の生きがい野球ができなくなってきたんだから。 中学一年からエースとして投げ続け、毎日100球以上投げ続けた。 合計すると100000以上は投げたかもしれない。 そのツケは、最後の試合に一気に爆発した。 右腕は、もう水平以上に投げられない。 そんな考えをしていると後ろから声がかかった。 金森「何を投げやりになっているんだよ。」 笠原の恋女房金森だ。 「何だよ明。」 「野球しようぜ!」 「何言ってんだよ俺の肩はもうあがらないんだぜ。」 「良いからこいよ。」 金森は、笠原の腕を引っ張ってグラウンドにやってきた。 「ホラこれ使えよ。」 金森が、笠原にグローブをわたす。 笠原「はめろってこれ左用だろ??」 金森「そうだ。今から練習するんだよ左投げを。」 笠原「そうだな。やるか!」 そして投げ始めた。 コントロールは聞かないし、遠くまで飛ばない。 しかし、フォームはきっちりとできていた。 笠原「(ここから始まるんだ・・・・俺の新しい物語が)」 完