〜Rain Forest〜(コウレン作) 〜Rain Forest〜 少し開けっ放しの窓から聞こえる小雨の音で目を覚ます。 眠気が身体を襲うが、いつまでも布団に潜っているわけにはいかない。 俺は勢いをつけて、ベッドから飛び起きた。 「あー…何で窓開いてんだよ…」 無性に苛立ちが頭の中を駆け巡る。 いつもはこんな些細な事では怒らないのだが、どうも気分が悪い。 近くにあった布巾を手に取り、濡れている部分を拭く。 幸い今日は休日だ。取り立てて時間に追いかけられているわけでもない。 濡れた布巾を洗濯機に持っていこうして、部屋から出ようとする。 ドアを開けると何かにぶつかった。 「ん…何してんだよ、人の部屋の前で」 「お母さんからお兄ちゃん早く起こして来いって言われたから…」 厄介な。俺は妹に起こされなきゃいかんほど駄目な奴と思われているのか。 胸が締め付けられる感じだ。 「う…そんなに遅い時間じゃないんだからいいだろっ」 と、時計を見る。 午後3時。十分遅い。 これなら起こされてもおかしくない時間だ。 「いくら休みだからって…寝過ぎじゃない?」 文句は言えないが、そこへ理不尽な言い訳をつけるのが俺だ。 「るさいっ、昨日はバイトがあったから疲れてんだよ!」 「昨日ずっと家にいたじゃない」 なんと。こいつ友達(俺は恋人と読んでいるが)遊びに行ったんじゃなかったのか。 もはや言い訳のしようがなかったので、俺は妹である優を無視し、洗濯機のある場所へと行く事にした。 手に持った布巾をポイッと投げ捨てるとさっさと自分の部屋に戻り、手をつけていない課題をやる。 「――で?何で優は俺の部屋にいるんだよ」 俺が机に向かって勉強しているのにも関わらず、優はベッドに座っている。 お袋に俺の監視でも頼まれているのだろうか。 「ん〜、だって暇なんだもん。友達も今日は遊べないみたいだしさ」 「友達じゃなくて彼氏じゃねぇのか?」 やばい。口が滑った。 部屋を数秒ほど静けさが包む。 閉まっている窓から聞こえるほんのり湿った感じが嫌な雨の音が、また雰囲気を暗くしていた。 「ご、ごめんなさい。余計な事を言いました」 「…お兄ちゃんの馬鹿」 げ、顔が見れないのですが。見たらやばいかも…。 「ただでさえお兄ちゃんだけで精一杯なのに、彼氏なんか作ってる暇あるわけないじゃない」 「え、随分な言い草だな、このやろーめ」 「野郎じゃないもん」 う…ああ言えばこう言う… 「ああいいさ。どうせ俺は女性の事を野郎と思い込んでるたわけものさ。そうさそうさ…」 俺は、妹を彼女にしているわけではありませんっ! …年下は好きですがね。 この後、数時間ほど妹の説教をいただき勉強に集中出来なくなった。 そのおかげで次の日に学校で居残りをさせられたのはもはや別の話である。 終わり