ヨシモリ(りょうた作) 俺の名前は大越良守という。 俺は高校三年の時野球部のキャプテン、そしてエースをしていた。 MAX148`のストレート、そして「伝家の宝刀」とも言われたえげつないシュートとお遊びで使っているカーブを駆使しそこそこ県大会で活躍していた。 何故過去形なのか・・・・・・ 最後の夏の県大会で決勝に進みながら敗北してしまったからだ。 俺達は悔し涙を流し、後の事を後輩達に託して引退した。 今はドラフト会議の真っ最中。 俺はドキドキしながら見ている。 ?「ヨシモリ、何見ているの?」 俺「ああ、武生か。今ドラフト会議しているよ。」 武生とは俺の親戚であり幼なじみだ。1年生からバッテリーを組んできた一番信頼できる仲間だ。 武生「俺たちは指名されるかねぇ?」 俺「無理だって。確かにそこそこ活躍したし、スカウトの人もいたから僅かながら可能性もあるぞ。」 30分が経過した。 「フェニックスドラフト1位 大・・・・」 「ぇ、マジ!?」「どうかな〜」 「・・・・嶋貴司 青峰学院高校。」 「なに〜〜!?」「だめだこりゃ。」 そして・・・・・・・・・ 「パドレスドラフト4位 大越武生 諒成学館高校。」 武生「やったーーーーーーーーー!!!!!!!」 俺「よかったな。俺はまだかなぁ?」 その次のスピヤーズに・・・・・・ 「スピヤーズドラフト5位 大越良守 諒成学館高校。」 そう、俺はプロ野球の世界に入ることになったのだ。 そういや俺の登録名は「ヨシモリ」となったのだと。 この年の上位指名選手以外みんなキャンプは二軍スタートだった。 俺はそこである同期の男と仲良くなった。 そいつの名前は・・・・・・・・・・・・・・・ 「ウィリアムス斉藤」 ドラフト4位で入団した。関西弁を使いこなすちょうど同い年のハーフの男だ。 身長189cmと言う堂々とした体躯(因みに俺は182cm)の持ち主でもある。 MAX157`のストレートに加え、スクリューとツーシーム、そしてSFFが武器のサウスポーだ。 ウィリアムス「おーいヨシ。ちょっときてくれへん?」 俺「なんだよウィリアムス。」 ウィリアムス「ワイと限界まで力を使ってをエントーキャッチボールし・・・「やめとくよ・・・・。」 ウィリアムス「まじーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?ひでーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 俺「うるさい。と言うよりも今日は第一クールだぞ。急がないと。」 ウィリアムス「は、はあ。わかったわ・・・・・・。」 俺はスタミナやコントロールをあげまくる練習をしたり(コース投げ込みとかマシンバイク)、シュートに更なる磨きをかけていた。 対するウィリアムス、甲子園でもベスト4に導いたほどの能力があるため、練習はそんなにさせられず、フリーバッティングに登板させまくられていた。 俺「ふー。疲れた。なあ、そう思わないか?ウィリアムス。」 ウィリアムス「疲れたに決まっとるやろがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 俺「うるさい。」 周囲「アハハハハ。」 そうやっている内オープン戦となった。 ウィリアムスはオープン戦で何と完全試合! 俺もノーヒッターとは行かなくても、シュートを駆使して三振を取り、首脳陣にアピールした。 ウィリアムス:防御率0.05 俺:防御率2.44 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 俺たちは開幕一軍入りを果たしたのだった。 その頃パドレスに入団した大越武生君。 彼はキャンプでめきめき成長し、パワー、肩、リードの良さを武器に頭角を現して、なんとサイクルヒット二回もやってのけたらしい。 何と打率.500!! 勿論開幕一軍入りを果たしたのだった。 ウィリアムスは先発として活躍し、俺も中継ぎで良い感じに活躍した。 ある日監督に呼ばれ監督室に向かった。 コンコン ガッチャ 俺「失礼しま〜す。」 監督「おう、大越か。」 俺「あの、監督。俺に何か話があるって聞いていますが。」 監督「今、お前中継ぎで何ホールドした?」 俺「確か8ホールドだったような、気がしますが?」 監督「そうか・・・・・・・・・。なあ、お前何勝した?」 俺「・・・・・・・・・まだ勝ち星は挙げてません。」 監督「じゃあ今度先発やってみないか?」 俺「ぇ、何でですか?」 監督「理由は二つ。一つはお前が結構安定感があって、フォームが見えにくい所、もう一つお前のシュートあれは打ちにくい。是非先発でやれるはずだ。」 俺「分かりました!宜しくお願いします!!」 そして数日後。 スピヤーズVSパドレス 「武生のいるチームかぁ・・・・・・。」 『ピッチャー、ヨシモリ。背番号23』 遂に試合は始まった。 「シューーーーッ!!」 「ブオン!!」 「・・・・・・バシーーーーッ!!」 「・・・・・・ストライーーーーーク!バッターアウト!」        「シューーーーッ!!」 「ブオン!!」 「・・・・・・バシーーーーッ!!」 「・・・・・・ストライーーーーーク!バッターアウト!」        ・       ・       ・ 「く・・・そっ!見えにくい、見えにくいぞ!フォームが!それにあのシュートいったい・・・・・・・・。」 でもって5回いや6回まで無安打。 でもパドレス側も4安打ぐらいに抑えて無失点だった。 この後2安打許したがチームがホームランをかっ飛ばし先制した。 9回、俺はピンチに立たされる。 ツーアウトは取ったが、連続安打を打たれるとエラーを許し満塁となってしまった。 『九番ピッチャー・・・・・・・・』 「ほ、よかった・・・・・・・。」 『・・・・・・・山下に変わりまして、ピンチヒッター、大越武生。背番号56』 「な、なにーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」 武生はずっとバッテリーを組んだ中。俺の癖を見抜いているはずだ。 まあ、俺も武生の癖は見抜いているが・・・・・・・・。 俺(ココは打たれちゃいけない・・・・・!武生に打たれてはならないんだ!!) 武生(友達同士とはいえ、真剣勝負!絶対、絶対打ってやる!!) 1球目 主審「ストライク!」 ボールからストライクに入る低めのシュートを投げた。さすがは伝家の宝刀。武生も空を切る。 2球目 主審「ボール!」 外角の微妙なストレート、武生はよく見た。 3球目 主審「ストライク!」 またもやストレート、内角の球にバットが空を切る。 4球目 お遊びで投げていたカーブ。 カキィーーーーン 打球はレフトへぐんぐん伸びる、しかし僅かに切れてファール。 もう少しタイミングがずれていたら、確実にスタンドインだったかもしれない。 5球目 主審「ボール!」 低め、ワンバウンドする変化球。 6球目 キャッチャーは真ん中高めのストレートにサインを出した。そこは武生の得意なゾーン。しかしそれを承知でサインした。 俺はコクリとうなずいた。 俺「うおおおおおおおお!!」 武生「ハアーーーーーーーーーーーー!!!!」 武生は狙い済ましたようにバットを出し、思いっきりフルスイング。 そして・・・ ズバーーーン!! 主審「ストライク!!バッターアウト!!ゲームセット!!!」 武生のバットは空を切った。 俺は・・・・・・・・武生との真剣勝負に勝ったんだ。 俺はあの後初勝利の記念にヒーローインタビューも受けた。 あのとき俺はうれし泣きをしてしまった。 試合の後・・・・・・・・・・・・・ ウィリアムス「おーーーーーーーい、ヨシーーーーーーー。」 俺「おう。ウィリアムス。何だ?」 ウィリアムス「すげーーーーーーーーーーーじゃねぇかーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 俺「うるさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!」 ウィリアムス「あ、ごめんちゃい。」 俺「・・・・・・まあ、でもありがとう。」 あれから俺は一年目に5勝17ホールドをあげる大活躍。何と新人王の候補にも挙がっていたらしい。 そして・・・・・・・・俺は二年目を迎えることとなった。 ヨシモリ(終)